仙台市:南蒲生復興部

2015年度の立正佼成会一食平和基金宮城県復興支援事業「復興まちづくり協議会等事務局ステップアップ助成」に申し込み頂きました、仙台市の南蒲生復興部に、助成金を取得するに至った経緯と、助成金を取得した後の状況について、部長 芳賀正様よりお伺いいたしました。


仙台市南蒲生地区町内会において個々の再建と共に今後の復興まちづくりが不可欠の考えのもと、下部組織として2012年設立。まちづくり基本計画の策定、3つの重点プロジェクトの実施。これらを踏まえまちづくりアクションプランを策定。ホームページ開設。

まちを歩き、取材し、話し合い、復興したまちのカタチが見えてきた

助成金活用後の地域との関係について

南蒲生町内会は震災を契機に防災集団移転・現地再建・自主移転再建と三者三様の住民の想いを受け止めることになり、街の将来像を描き直すために町内会に「復興部」を作り、住民アンケートやワークショップを開催しました。毎週の話し合いの中から「南蒲生復興まちづくり基本計画」を策定、杜の都の田園文化を受け継ぐ「新しい田舎」を探求してきました。

この計画のもと3つの重点プロジェクト(①安心・安全な環境づくり、②居久根のある景観づくり、③南蒲生らしい産業・交流づくり)を掲げ、住民主体でアクションプランを策定しました。また地元のホームページの作成や被災地視察受け入れ、中越の復興地視察など活発な活動をしてきました。

とはいえ現実は人口減少や担い手の高齢化で現住の住民だけではビジョンを達成するのは厳しく、外部の南蒲生ファンや元住民を取り込む担い手を確保する解決策が必要になりました。そこで、WEBと紙の両方を使った情報発信体制の構築、及びその環境整備でした。MAPの作成は、住民と地域外の支援者が地元を歩き、自ら取材して紙面を作り、見やすさを追求してイラストを挿入するなどの工夫を試みました。

これがプロジェクトメンバーの共有認識になり、外部との繋がりが出来たことでNPOや市民センターと協働のスタイルができたとのことです。今回の事業では成果物を残すために事務局が存在が改めて重要であることに気付き、編集やWEBコンテンツ制作のスキルが求められたということです。事務局では10年、20年、いや30年先まで見通せるまちづくりをしていきたいという事でした。

南蒲生復興部の活動の軌跡

2012

南蒲生復興まちづくり計画の策定

南蒲生復興まちづくり計画の策定

「杜の都の田園文化を受け継ぐ新しい田舎」と言う地域の将来像・ビジョンをいち早く示すことで、現地再建を中心とした復興がスタートすることとなった。

2013

住民主体での「祭り」の復活

2013年9月に南蒲生復興祭を実施し、震災後初めての町内会主催での機会となった。南蒲生を支えてきてくれた支援団体も参加し、地域復興の新たな一歩を踏み出した。

2014

中越視察研修の実施

住民主体の復興や新集会所の活用のヒントを得るために山古志村を訪れ、震災メモリアル施設や伝統文化継承などの事例を学んだ。

2015

南蒲生復興まちづくりリアクションプランの策定

住民主体の復興や新集会所の活用のヒントを得るために山古志村を訪れ、震災メモリアル施設や伝統文化継承などの事例を学んだ。

2016

南蒲生復興5年史の作成

南蒲生復興5年史の作成

中越視察を踏まえて、5年間の復興のあゆみを記録冊子としてまとめ、後世に残さそうと作成された。南蒲生地区住民をはじめ、これまでお世話になった行政・支援団体や公共施設などに配布された。

今後の課題

成果物であるMAPをより多くの場面で活かすこと、配布者、配布方法、活用機会などを随時点検したいと考えています。外向けの活用はもちろんですが内向け(住民向け)にも、避難訓練で活用するとか住民同士でまちあるきをしてみるとか、活用の幅を広げたいとのことでした。

ステップアップした点とこれから

これからのまちづくり協議会はその活動を町内会単位から小学校区単位へ広げ、複数の町内会と地元の市民センターなどと行った広域の力を集結させることで続けられるのではないかと考えています。地元の小学校区と言うと「岡田」地区ということになりますが、自分たちは「岡田」住民という意識を高めていきたいとのことでした。

助成金事業の内容

リーフレット作成、プリンター購入

※「南蒲生復興部は2015年12月で解散し、2016年1月より南蒲生町内会は平時の体制に移行しました」

れんぷくから見た南蒲生復興部の助成金活用について

れんぷくの関わり

南蒲生の復興キーパーソンの方々とはこれまでいろいろなプロジェクトやシンポジウム等でご一緒してきた経緯があり、復興まちづくりの将来について想いを共有してきました。地域の経営をヨソモノ、ワカモノ、バカモノが側面で支える連携のスタイルを私たちは応援していくつもりです。

助成金活用を検討している方へのポイント

南蒲生復興部の事務局は若い人たちが生き生きと活動しています。町内会のもとに「復興部」を作り、その部内において多くの検討と試行錯誤がなされたのは比較的自由度が高かったからなのではないでしょうか。現在この部会スタッフは再編成された町内会内で活動していますが、この経緯はこれからの住民組織の中でも存分に発揮されるのだと期待しています。