2015年度、2016年度の立正佼成会一食平和基金宮城県復興支援事業「復興まちづくり協議会等事務局ステップアップ助成」に申し込み頂きました、石巻市の鮎川港まちづくり協議会に、助成金を取得するに至った経緯と、助成金を取得した後の状況について、会長 齋藤富嗣様よりお伺いいたしました。
壊滅的な被害を受けた鮎川浜において、「商業・観光業の拠点区域」に係る復興事業を行政と協議する住民任意団体として2013年に設立。会議を重ね石巻市へ提言を行った。
昔から地元にあったリソースのつながりが地域の新たな魅力になる
助成金活用後の地域との関係について
組織の将来ビジョンを検討するため昨年は、千葉の観光・商業一体型施設の視察を行い、視察の現場から協議会として取り組む施設の在り方のイメージをつかむことができました。また、法人運営について学ぶために専門家派遣により、施設に関わるメンバーとの目的の共有と個別の経営の実務的な知識を深めることができました。
今年度は昨年の視察や学びから得たことを踏まえて、鮎川港にできる新施設の開館に向けて様々な勉強会を開きました。勉強会では、牡鹿半島の観光PRのために、半島の豊富な海産物を協同でPRする必要があると議論しました。また4回に渡る研究会のテーマは「牡鹿半島の魅力を伝えるために!!」として、民宿や飲食店事業者が提供している料理を持ち寄り、講師からPRの具体的な手法などアドバイスをしてもらいました。
最終回には、行政やマスコミ、協力団体を招いて牡鹿半島の名産「ホヤ」や「カキ料理」の試食会を開催、「おもてなし」の実践を体験しました。この様子は河北新報、石巻河北、石巻日日新聞で取り上げられました。また今年も昨年に引き続き女川町と南三陸町への視察も実施しました。街のハードが出来る前にソフトの検討を地元住民・商工業者を巻き込んで事務局が牽引している姿が印象的でした。また検討のステップを踏んだ結果、自分たちの視点は「鮎川」単体ではなく「牡鹿」全域へと広がっていったのは研鑽の賜物だと思っています。
また勉強会・研究会を行うことにより、仮設商店街や近隣飲食店・民宿への集客を地域一丸となって行う第一歩にすることができました。そして、会議室での会議ではなく、実際に料理を持ち寄っての場づくりは、その後の「鮎川」「牡鹿」の「おもてなし」を実践する試食会につながることになりました。視察研修は、他地域との復興状況の違いを知る機会となり、仮設商店街から本設完成までの集客手段についてすでに実践していることから学ばせていただくことがあり、今後の新施設の検討をする際の参考となる視察となりました。
鮎川港まちづくり協議会の活動の軌跡
今後の課題
「試食会」の様子がマスコミを通じて報道されたので、今後の活動の中でも継続的に行うための体制づくりやより発展的にPRの仕方を検討中です。イベントの協力開催をどのように展開するかも今後の課題です。
ステップアップした点とこれから
勉強会・研究会を通じて、地元の民宿や飲食店事業者間の協力体制が構築できたことです。新たな施設の在り方、参加協力などを検討するなど、鮎川浜拠点エリアの完成を見据えた活動の幅を広げることができました。
助成金事業の内容
経営計画策定個別相談のための講師招へい、地域の情報発信勉強会のための講師招へい、視察研修(南三陸、女川)
れんぷくから見た鮎川港まちづくり協議会の助成金活用について
れんぷくの関わり
鮎川港まちづくり協議会の事務局スタッフは復興応援隊(総務省事業)として鮎川の地で活動しています。れんぷくは従来より復興応援隊としての活動をサポートしてきましたが、彼らが住民と一緒になって地域の再生に取り組む姿を、本事業のモニタリングを通じて改めて確認しました。今後も復興のフェーズにあったサポートをしていきたいと思います。
助成金活用を検討している方へのポイント
助成金をうまく活用して、組織の事務局の基盤整備を行うとともに、組織の成り立ちやその活動の記録を冊子にすることで他地域での災害支援や視察対応に対応できるツールを制作したことです。先を見越した助成金活用の仕方は今後の新たな活動計画に活かされることだと思います。